イソフラボンと肺がんという、一見何の関係もなさそうに見えるこの二つに、大きな関連性がある可能性が高いとして、現在研究が進められています。
肺がんは、日本人男性の死因のトップといわれています。
そして肺がんの原因として最も知られているのは、喫煙です。
しかし、これまでに一度も喫煙したことがないという人でも、肺がんを発症する場合があります。
その原因として、副流煙や大気汚染などの他に最近判明したのが、女性ホルモン「エストロゲン」です。
今のところは研究段階で、詳しい関連性までは分かっていませんが、体内のエストロゲンの濃度が影響を与えているということが明らかになってきました。
エストロゲンの分泌が活発な、初潮から閉経までの月経期間が長い女性、または病気治療でホルモン剤を投与された経験のある女性は、肺がんに対するリスクが高いことが報告されています。
そして、喫煙の経験や習慣のない女性ほど、この影響を受けやすいということも分かっています。
このようなエストロゲンによる肺がんのリスクを下げる効果があるとされているのが、イソフラボンです。
イソフラボンはエストロゲンに似た化学構造を持ち、ホルモンバランスを整える効果があります。
美肌効果が知られており、イソフラボン配合の化粧品やサプリメントを使用する人も多いことでしょう。
このイソフラボンには、減少したエストロゲンを疑似的に増加させるというはたらきがあります。
また、増えすぎたエストロゲンを抑制するという相対する二つの作用を持っています。
この「増えすぎたエストロゲンを抑制する」効果に注目して、さまざまな年齢や性別、喫煙経験の有無を調査しイソフラボンを摂取させる研究を進めたところ、全体的には変化が見られなかったものの、喫煙経験のない男性にのみ、一定の効果が見られました。
エストロゲンとの因果関係も、イソフラボンとの因果関係もまだはっきりとは解明されていないものの、イソフラボンは肺がん予防に何らかの可能性を秘めているのです。
現段階ではっきりと言えることは、適正摂取量さえ守っていれば、イソフラボンは身体に良い効果をもたらしてくれるということです。
肺がんの他にも、乳がんの予防に効果的であることは以前から知られていますし、骨粗しょう症や生活習慣病の予防など、その効果は多岐にわたります。
そして近い将来、肺がんに対する作用のメカニズムが解明されれば、イソフラボンはさらに健康には欠かせないものとなりそうです。