前立腺がんは、男性特有のがんです。
原因は男性ホルモンであるアンドロゲンの影響で、前立腺がん細胞が増殖して起こります。
これは加齢によるホルモンバランスの乱れが原因とされ、患者数は60代を境に、年齢とともに増加する傾向にあります。
ところが昨今は、前立腺がん患者は若い年代の男性にもみられ、
・不規則な生活
・塩分、油分の多い食事
・過度の飲酒や喫煙
・ストレスの多い生活
などの習慣ががん細胞を増やしているとされています。
しかし、人種別でいうと黄色人種である日本人は、黒人や白人よりも比較的患者数が少ないといわれています。
日本人が他の人種に比べて患者数が少ない要因には、以下のようなことが考えられます。
1.男性ホルモンの濃度が低いため
2.大豆製品を摂取する習慣があるため
このうち、2の大豆製品の摂取について、前立腺がんとの関係を詳しくみていきましょう。
イソフラボンは、大豆などのマメ科に含まれる植物性エストロゲンのひとつです。
植物性エストロゲンとは、その名の通りエストロゲン(女性ホルモン)と同様の作用をする、植物がもつ成分のことです。
前立腺がんはそもそも、男性ホルモンのはたらきによって引き起こされる病気ですから、イソフラボンがもつ男性ホルモンのはたらきを抑制する効果によって、細胞のがん化を予防することができるのです。
私たち日本人とアジアの周辺国の人々には、日頃から多くの大豆製品を食生活に取り入れる習慣があります。
研究によると、大豆製品を摂取する習慣のない欧米などの国の人々に比べ、私たちは前立腺がんのリスクが低いことが分かりました。
日本がん予防研究会は1998年、イソフラボンに前立腺がんを予防する効果があると報告しています。
イソフラボンの細胞のがん化を抑えるはたらきは、前立腺がんに限ってのことではありません。
他にも女性に多い乳がんや日本人に多い大腸がんを予防することも分かっており、上のような大豆製品の摂取に関連する同様の研究結果があります。
それだけでなく、イソフラボンはコレステロール値を下げることから、動脈硬化などの生活習慣病予防に対しても効果があります。
これまでの日本人が続けてきた、大豆製品を含む和食中心の食生活には、健康面で多くのメリットがあることを再確認していただけたのではないかと思います。
がん予防のためにも塩分やカロリーの高い食事を避け、一日に数種類の大豆製品をとる生活を心がけてみてはいかがでしょうか。